「専門的にしっかりした内容で、かつ、前提知識をさほど必要としないもの」を中心に集めています。分類は非常に大雑把なものです。どの分類にもうまく当てはまらないものがありますので、参考程度にお考え下さい。
言語学一般
- 黒田『はじめての言語学』
- 上山『はじめての人の言語学』
- 定延『日本語教育能力検定試験に合格するための言語学22』
- 佐久間『本当にわかる言語学』
- 西田『言語学を学ぶ人のために』
シリーズものまとめて
- 岩波書店「もっと知りたい!日本語」シリーズ
- 開拓社「言語・文化選書」シリーズ
音声、音韻
- 窪薗『アクセントの法則』
- 窪薗『ネーミングの言語学―ハリー・ポッターからドラゴンボールまで』
- 川原『音とことばのふしぎな世界:メイド声から英語の達人まで』
- 田中『日常言語に潜む音法則の世界』
- 小野『オノマトペがあるから日本語は楽しい』
- 山口『犬は「びよ」と鳴いていた』
- 松森ほか『日本語アクセント入門』 日本語のアクセントについて勉強するならこれが決定版の教科書。
- 定延『ささやく恋人、りきむレポーター』 日本語のイントネーションなどについて興味深い現象が豊富。
文法、脳、進化
- ピンカー『言語を生みだす本能』 一般向けだが分量は多い。
- ジャッケンドフ『心のパターン』
- ブックス『言語から認知を探る』
- 酒井『言語の脳科学』(中公新書)
- 萩原『脳にいどむ言語学』(岩波科学ライブラリー)
- 山鳥『言葉と脳と心:失語症とは何か』
- 岡ノ谷『さえずり言語起源論』
- 小川・岡ノ谷『言葉の誕生を科学する』
- 正高『ヒトはいかにしてことばを獲得したか』
- トマセロ『心とことばの起源を探る』
- トマセロ『コミュニケーションの起源を探る』
- コーバリス『言葉は身振りから進化した』
- 池内『ひとのことばの起源と進化』
- チョムスキー『統辞構造論』(岩波現代文庫) Chomsky (1957) Syntactic Structures の翻訳など。生成文法のはじまり。
- チョムスキー『生成文法の企て』 これも文庫になっているが初心者向けではない
- 原沢『日本人のための日本語文法入門』(講談社現代新書)
- 岸本『文法現象から捉える日本語』
- 久野・高見『謎解きの英文法』シリーズ
- 川添『白と黒のとびら:オートマトンと形式言語をめぐる冒険』
意味
- ポートナー『意味ってなに?』 形式意味論のもっとも平易な教科書だが、それでも専門的
- 影山『ケジメのない日本語』
- 本多『知覚と行為の認知言語学』
- 山梨『照応と推論』
- 山梨『比喩と理解』
- 池上『英語の感覚・日本語の感覚:“ことばの意味”のしくみ』
- 瀬戸『メタファー思考』
- 瀬戸『日本語のレトリック』
- 瀬戸『よくわかる比喩』
- 鍋島『日本語のメタファー』
- 本多『知覚と行為の認知言語学』
- 西村・野矢『言語学の教室』 東大の先生の対談。
- ピンカー『思考する言語』
- レイコフ・ジョンソン『レトリックと人生』 概念メタファーを基礎づけた Lakoff & Johnson (1980) Metaphors We Live By の翻訳
- レイコフ『認知意味論』 前提知識はそれほど必要ないが分量が多い
- 山梨『修辞的表現論』
- 定延『煩悩の文法』
類型論、世界の言語、言語と文化、危機言語
- ベイカー『言語のレシピ』(岩波現代文庫) 世界の言語のさまざまな文法が、子供が生まれもつ言語能力+「パラメータセッティング」で決まるという考えを展開した本。
- エヴェレット『ピダハン』
- ドイッチャー『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 色彩語彙などのトピックを中心に、言語が思考のあり方に影響を与えるのかといったトピックについて扱った読み物。一般向けだがやや分量は多い。
- 今井『ことばと思考』(岩波新書)
- ハリソン『亡びゆく言葉を話す最後の人々』
言語変化と歴史言語学
- 黒田『ことばは変わる』 おそらく歴史言語学一般のもっとも平易な入門書。
- 吉田『言葉を復元する』 歴史言語学の方法論。より専門的。
- 山口『犬は「びよ」と鳴いていた』
- 山口『日本語の歴史』(岩波新書)
- 山東『日本語の観察者たち』
- 寺澤『英語の歴史』(中公新書)
- ディクソン『言語の興亡』(岩波新書)
獲得
- 今井『ことばの発達の謎を解く』 赤ちゃんが単語をどうやって覚えるのか、といった問題について考えたい人には出発点としておすすめ。
- トマセロ『ことばをつくる』
- 白井『外国語学習に成功する人、しない人』
- 白井『外国語学習の科学』(岩波新書)
- 白井『第二言語習得論入門』
- 荒川『日本語という外国語』(講談社現代新書)
- 佐々木『外国語としての日本語』(講談社現代新書)
方言
- 木部ほか『方言学入門』 色々なトピックがコンパクトにまとまっていて非常に読みやすい。
- 井上『日本語ウォッチング』(岩波新書) 「-じゃん」「うざい」などが定着するまで。
- 井上『日本語は年速1キロで動く』(講談社現代新書)
- 井上『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)
- 松本『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫) TV番組「探偵!ナイトスクープ」の企画から生まれた方言調査の記録。
- 工藤・八亀『複数の日本語』 方言間の文法の違いに着目。
- 木部『じゃっで方言なおもしとか』
- 小林・澤村『ものの言いかた西東』(岩波新書) 発音や単語ではなく、「こういう場面で挨拶をするか」といった社会的な側面に関する方言差に注目した本。
- 真田『方言の日本地図』
- 真田『方言は絶滅するのか』(PHP新書)
- 田中『「方言コスプレ」の時代』 「方言コスプレ」は、ツッコミを入れるときだけ関西弁になったり、方言をキャラクター作りに利用することを表す著者による造語。
語用論、言語とコミュニケーション、言語と社会
- 福田『対人関係の言語学』
- 滝浦『ポライトネス入門』
- 井上『相席で黙っていられるか:日中言語行動比較論』 日本語と中国語の違いについて色々なトピックを扱っている。
- 井出『わきまえの語用論』
- 石黒『日本語は「空気」が決める』(光文社新書) タイトルはややミスリーディングだが比較的オーソドックスな社会言語学の入門読み物。
- 白井『ことばの力学』(岩波新書) 社会言語学的なトピックについてのエッセイ。
- 滝浦『日本語は親しさを伝えられるか』
- 金水『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』 博士が「〜なのじゃ」、中国人が「〜ある」などと話す「フィクションの日本語」を研究した最初の本。
- 金水『コレモ日本語アルカ?』
- 定延『日本語社会のぞきキャラくり』
- 真田・簡『旅するニホンゴ』 海外の日系移民コミュニティや旧植民地に残る日本語についての研究の紹介。
- 鳥飼『国際共通語としての英語』
手話
- 松岡『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』
- 岡・赤堀『日本手話のしくみ』
- 亀井『手話の世界を訪ねよう』(岩波ジュニア新書) 手話コミュニティの文化、手話の使用者にとっての日本語などがよくわかる
- 米川『手話ということば』(PHP新書)
文字
- 今野『正書法のない日本語』
- 今野『日本語の考古学』
- 今野『かなづかいの歴史』
- 馬渕『五十音図の話』
- 屋名池『横書き登場』
- 大名『英語の文字・綴り・発音のしくみ』
その他
- 村上『シェークスピアは誰ですか?』(文春新書) 文章の統計的な性質から著者を推定するなど、計量文献学と呼ばれる分野の入門書。
- 山岸ほか『おしゃべりなコンピュータ 音声合成技術の現在と未来』(丸善ライブラリー)